
【契約不適合責任とは?】個人・法人・不動産会社で違いをわかりやすく解説
こんにちは。中川 朋樹です。
前回の記事では、独立後初めてのお客様とのお取引についてお話ししました。
その売買契約では、売主様が個人、買主様が法人というケースで、
「契約不適合責任免責」や「設備の修補責任免責」という条件が含まれていました。
不動産業界ではよく使われる言葉ですが、
初めて住宅を購入・売却される方にとっては、聞き慣れない専門用語ではないでしょうか。
今回は、この「契約不適合責任」について、できるだけわかりやすくご紹介したいと思います。
契約不適合責任とは?
契約不適合責任とは、簡単に言うと、
「売った物件が契約内容と違っていた場合に、売主が負う責任」
のことです。
例えば、
- ・雨漏りが見つかった
- ・シロアリ被害があった
- ・給排水管が壊れていた
- ・土地の面積が契約内容と違っていた
といったケースが代表例です。
買主様からすると、
「そんな話は聞いていなかった」
という状況ですね。
では、この責任は売主が誰なのかによって違いがあるのでしょうか。
結論から言うと、大きく違います。
売主が個人の場合
まず、売主様が個人の場合です。
例えば、自宅を売却するケースや、
相続した不動産を売却するケースなどがこれにあたります。
このような取引では、「契約不適合責任を免責」とする契約が比較的よく見られます。
つまり、
「引渡し後に新たな不具合が見つかった場合でも、売主様は責任を負わない」
という内容です。
これは、一般の方が建物の状態をすべて把握することは難しいという事情があるためです。
特に築年数の古い住宅や相続物件では、
「知らなかった不具合まで責任を負うのは酷だよね」
という考え方があります。
そのため、中古住宅の取引では契約不適合責任を免責にするケースも少なくありません。
売主が一般法人の場合(不動産会社ではない会社)
次に、売主が一般法人の場合です。
ここでいう一般法人とは、不動産会社(宅建業者)ではなく、
事業用不動産を所有している会社や資産管理会社、相続対策で作られた法人など、
不動産売買を本業としていない法人を指します。
売主様が一般の法人である場合も、
契約によって契約不適合責任を免責にすることは可能です。
ただし、会社として物件を所有・管理している以上、
個人売主よりも管理状況について説明を求められるケースがあります。
そのため、物件状況報告書などをもとに、より丁寧な説明が行われることが一般的です。
売主が不動産会社の場合
一方で、売主が不動産会社の場合は考え方が異なります。
ここが一番重要です。
買主様が一般消費者である場合、宅地建物取引業法により、
契約不適合責任を完全に免責することはできません。
宅地建物取引業法により、買主に著しく不利な契約は禁止されているためです。
そのため、「一切責任を負いません」という契約は原則できません。
責任期間も立場によって異なります
ここで一つ知っておきたいのが、
契約不適合責任を請求できる期間も、売主の立場によって異なるという点です。
一般的には、個人売主では引渡し日の翌日から3か月、一般法人では1年、宅建業者では2年と定められることが多く、
標準的な契約書でも採用されている目安です。
例えば、個人売主で「3か月」と契約していた場合、
- 4月1日
引渡し - 6月30日
雨漏り発見 → 契約期間内なので、請求できる可能性があります。 - 7月5日
雨漏り発見 → 契約期間を過ぎているため、契約不適合責任として請求できない可能性があります。
ただし、法律で一律に定められたものではなく、契約内容や特約によって異なります。
そのため、「どのくらいの期間、どのような場合に責任を負うのか」を契約前にしっかり確認しておくことが大切です。
「免責」と聞くと誤解されやすいこと
「契約不適合責任免責」と聞くと、
「売主は何も責任を負わなくていい」
と思われる方もいらっしゃいます。
しかし、それは少し違います。
例えば、
- ・雨漏りを知っていた
- ・シロアリ被害を知っていた
- ・境界トラブルを把握していた
にもかかわらず、その事実を故意に伝えなかった場合は、別の問題となる可能性があります。
免責とは、「知っていたことを隠してもよい」という意味ではありません。
だからこそ、売主様には正確に状況を伝えていただくことが大切です。
契約前に確認していただきたいこと
不動産は高額なお買い物です。
価格や立地だけでなく、
「何が保証されるのか」
「何が保証されないのか」
を理解しておくことも、とても重要です。
契約書の中で分からない言葉があれば、遠慮なく担当者へ確認してください。
私が契約のご説明をするときは、
「契約書に書いてあるので大丈夫です。」という説明はしたくありません。
専門用語をできるだけ使わず、
「つまりこういうことです。」と、お客様が納得できるまでお話しすることを大切にしています。
不動産の契約は一生に何度も経験するものではありません。
だからこそ、安心して署名・押印していただけるよう、これからも丁寧なご説明を心掛けていきます。
まとめ
契約不適合責任は、
- 個人売主
- 法人売主
- 不動産会社
これらで考え方が異なります。
難しく感じる言葉ですが、契約内容を理解することで、
安心して不動産取引を進めることにもつながります。
ぜひ、契約前には内容をしっかり確認し、
納得したうえで手続きを進めていただければと思います。
引き続き、読んでいただけたら嬉しいです。
